□10cmテープの恋!
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仁王先輩の口をテープで塞いで剥すたびに、仁王先輩の口からは一つ覚えのブン太って出てくる。ブン太ぶんたブン太、口数が少ない仁王先輩の喋る大半はブン太ばっかり。いい加減にしないと裁縫針で両唇縫って喋れなくしちゃおうか、でも痛そうだからガムテープに痛みを託そうと思います。でもなんで仁王先輩の事ばっか考えちゃうんだろ、暇があれば丸井先輩が浮かぶのにその端っこに割り込む仁王先輩。嫌よ嫌よも好きのうちってやつかな、だったらこれは恋だ。でも雑草食べた後みたいな苦みが胸に残る、甘いんだけど苦い。から、これって恋?




「仁王先輩ってブン太しか言えませんよね」

「あー、ブン太?」

「ほらね、正直うるさいんですよ。ブン太ブン太」

「ブン太を食べたら黙る」

「だったら俺丸井先輩食べたら、仁王先輩みたいになっちゃうのかなー」

「そうじゃのう」




そのまま仁王先輩は俺の方を向いて口を人差し指でさして、またブン太って言っちゃいそうだからテープ貼って?なんて馬鹿みたいに笑ってる。ほんと、俺の方が危なくなってきたような気がして自分でテープちぎって口に貼ったら、お前もブン太って言っちゃいそうなんだって仁王先輩も俺のテープをちぎって口に貼った。



「うわーお前らそれ流行ってんの?ってか気持ち悪いから早く外せよ!」




2人で外したらきっと愛が弾け飛んじゃうので、今日一日はずっとこのままでいよう!

「早く外せってば!」

(先輩のためのテープだから無理っす!)






10cmテープの恋!

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