□慎重、164cm
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仁王は相変わらず細くて背が高くてうらやましい限りなんだけども、俺は相変わらずぽっちゃりして背が低いんだよね。ずるくない?皆背伸びてるのに、俺だけ伸びてないって無しでしょ。しまいには赤也にまで抜かされて「先輩小さいっすね」とかマジありえねぇし!最近入ってきた新入り(ウンコみたいな奴)だってみるみる大きくなって、俺の事を上から見下ろすようになるんだろうな、ちくしょう。
あぁ、だったらみんなの身長から1cmずつ貰えば俺高くなれるじゃん。世界中の人から貰ってったら俺東京タワーみたいに大きくなって、皆の事見下ろして「俺凄いでかくない?」って自慢してやろう。




「仁王お願いがあるんだけど」
「まじめな話?」
「うん」
「えー、なんかすげえ聞きたくないんだけど」
「俺に身長わけてくんない?」
「…無理です」
「身長ぐらい良いじゃん!」
「いや科学的に無理なの」
「…ばか」
「それにさ、その身長だから可愛いんだよブン太って」
「…」
「今のブン太は最高に可愛い」
「…うるさい!もうお前どっかいって!」




いつまでも164cmでいたいなんて、うん、嘘だよ。うそうそ。嘘に決まってんじゃん、俺がそんな事考えたりすると思う?
でも心なしか胸が炭酸水に浸かったようにしゅわしゅわして気持ち悪い。
仁王の顔をチラ見する、あいつは可愛い可愛いって俺の髪の毛の先っちょ見つめながら言ってる。なんか悔しいはずなんだけど、でも嬉しくない訳じゃないの。ね、分かる?

だから俺は仁王の足を俺の素敵な足で蹴飛ばすの。















慎重、164cm

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