□沈黙という名の
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「今日まででどれくらい成長したのかな、俺たち」



仁王は独り言みたいに切り出した

仁王の眼球はどこか遠く、誰も知らない世界をうつしてる気がした。泣いてるみたいに見えたけど、でもきっと気のせい。ずっと沈黙が続いてそろそろカラスも家に帰る時間かなって考えはじめて、仁王も同じような事考えてるんだろうなって。もう冬だから随分外は寒い、俺はかろうじて暖かいカイロをポケットから出して仁王に投げた。これは紛れもなく俺が帰りたいって意味を込めてるものだって分かってるはず。でも、俺の沈黙を切るという行為はサヨナラを意味しちゃうんじゃないかって。ああ、何でこんな年頃なんだ。嫌気がさしてきちゃうくらい馬鹿の最高潮に達してるのだと実感させられる。俺たちは成長したのかって質問に、俺はどう答えればいいかなんて。

分からないんだけどなぁ



「ブン太、きっと俺たち成長してないのかのう」

「ばーか、してるだろ」



時間が止まった世界を動かした仁王はまた下を向いて沈黙した。なんでこんなにネガティブなんだろうって考えたらきりがないから、なにも言いはしないけども。


「どこも変わっとらん」

「…馬鹿みたいに身長伸びたじゃねーか」

「たしかに、そうじゃの」














あいつはなぜか笑った!

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