夢のカケラ
□淡いキモチ
1ページ/10ページ
「いってきます」
「あら、今日は早いのね」
ママがこっちを見て笑う
「またテイマーズの集会?」
あたしのベルトについたカードポケットを指さし、面白そうに言った。
「まあね」
「ふふ。行ってらっしゃい。あ、寒いからちゃんと上着着ていくのよ」
「はーい」
あたしはテーブルの上にあったおばあちゃんの好きなアラレをつまんでから、廊下にでた。
庭に直に面している廊下はすごく寒い。
でもここを通るのは好きだから。
中庭は雪で真っ白。
池も凍ってる。昨日は上を歩けたな…。
板の廊下だから、足下に痺れるような冷たさがあった。
でも歩くし。
玄関で、かけてあるコートをとる。薄いベージュのものだ。
これを着て、レナモンと一緒に戦ったことがある。
そのとき、啓人に夢で見られてたっけ
(あ──…)
啓人のことを思い出して、あたしはそっぽをむいた。
赤いシューズを履いて玄関をでて、あたしは名前を呼ぶ
「──レナモン」
すると、門の陰から黄色の美しいデジモンが現れた。
「──ルキ」
「行くよ」
あたしはそう声をかけて歩き出す。
寒いから、下に着ているハイネックを口元まで引き上げる。
「ルキ、啓人は良いのか?」
「啓人…ね」
あたしは肩をすくめて見せる。
それでハイネックが下がったから、急いで引き上げた。
「啓人は知らないわよ」
「…喧嘩でもしたのか、ルキ」
「知らない!」
あたしは素っ気なく答え、ざくざくと雪を踏みながら歩いていく。
後ろではレナモンが小首を傾げてた。
.