愛唄

□ほらね
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私の事をどう思っていますか?と、そう聞けたらどれだけ楽なんでしょう。でも、こんなこと聞くだけ無駄だって自分が一番よく分かってる。きっと君は、穏やかな笑顔をしながら無意識に私の心を抉る。分かってるの。君が私に向ける「好き」と、私が君に向ける「好き」は似ているけど、まるで光と闇のように交わることは無いって。

「なんて、愚かな感情」

本当に、何て愚かなの。そして何て醜い。だって君があの人を好きだと分かっていても、諦める事ができないの。ずっと前から分かっていたことじゃない。君は私じゃないあの人が好きで、私に振り向いてくれるわけがないって事ぐらい、ずっとずっと前から。でも、どうしてもこの想い捨てることはできないの。たとえそれが、叶わない想いだとしても。

「でも、この想いが君を苦しめるなら…」

私は喜んでこの想いを切り捨てるでしょう。だって、そのほうがずっと楽。そうすれば、君とあの人の仲を見せ付けられて苦しい思いをすることも、私のせいで君が悲しむこともないの。でも、今だけはこの想いを抱くことを許してください。
だって、この想いを切り捨てなければならない時はもうすぐだから。




ほらね
(君はあの人の前だけで優しく微笑むの)



20071220
愛唄で20のお題4。
その笑顔が心を抉る。
あの人→京子ちゃん


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