愛唄

□バカにして笑った
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俺の大好きな君が、とても悲しそうな顔をしていたんだ。そう、今にも泣き出しそうな顔。でも、君は笑っていて。
その表情が今でも消えない。消えてくれない。
俺は、君がそんな顔をしている理由も、その表情を笑顔にする術も知らなくて。ただただ思考の波に沈んで行くことしかできない。
そう、君を想って考えるだけ。君にどうしたの?と尋ねる事も、君を慰める事もできずに。
本当は、君が俺を頼って来てくれるのを待っているのかもしれない。泣きそうな笑顔を浮かべた君が、俺の部屋のドアを叩いて入ってきてくれるのを。
でも、君は絶対そんなことはしない。君は、人に迷惑を掛けるのを極端に嫌うから。そうやって、いつも一人で背負い込んで、俺の知らないところで一人で傷付いていくから。
でも、俺はそこまで分かっていながら君に自分から尋ねることはできない。これは、俺の精一杯のプライド。素直に俺を頼ってくれない君への精一杯のお返し。
そんなに俺は頼りないの?確かに、君を笑顔にする事はできないかもしれない。けど、君の話を聞く事はできるのに。

このことを部屋に入って来たリボーンに話したら、だからお前はダメツナなんだ、と、俺を睨みながら笑った。




バカにして笑った
(もう一度君を見ると、君はもういなかった)



20071221
愛唄で20のお題5。
君の心が知りたい。


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