『影踏み』さんの小説

□君の恋について聞いてみたい(中編2)
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━ガラガラッ…



「ただいま〜。」



もうすっかり日も落ちた頃、


私はやっと家路についた。



着替えようと部屋に向かう途中、


夕飯のおかずを居間に運ぶ、


かすみお姉ちゃんに呼び止められた。



「おかえりなさい、あかねちゃん。


 もうみんなお夕食はじめてるから、


 あかねちゃんも着替えて降りて来てね。」



「は〜い。」



私は、部屋着に着替え、


夕食をとるべく、居間に降りて行った。



そこには、いつも通りの食事風景があった。


…只1人を除いては…。



背後からでもわかる。


完全に不機嫌な乱馬の姿があった。



「…何怒ってんのよ?」



「…別に怒ってねーよ。」



あからさまに怒っている。


恐らく、私とムースのコトを気にしてるんだろう。



「こんな時間まで、ムースと何やってたんだ?」



嫌味ったらしく聞いてきた。


ほ〜らやっぱり!!



「気になるの?」



「気にならねーよっ!!!」



ご馳走様!と、機嫌悪そうに、


乱馬は居間を後にした。



こんな状況を、うちの家族が見逃すはずも無く、


我が家のゴシップ女王”なびき”お姉ちゃんが、


目を輝かせ身を乗り出しツッコんできた。



「ナニナニ、あかね?!


 あんたムースと何かあったわけ?!」



「…別に、何もないわよ。ご馳走様!」



家族の好奇心が、私一点に集中し始め、


いたたまれなくなってきた私は、


お味噌汁を飲み干し、居間を後にした。





━翌朝。


私たちは、気まずさを抱えながら、


学校へと向かった。



1限目━。



2限目━。



3限目━。



昨日のムースとの計画が、


頭の中を占めていて、


授業に集中出来ない。



昨日のコトが気になるのか、


さっきから乱馬も、


こちらをチラチラと伺っている。




…そろそろなんだけどなぁ〜…




━シュッ!! カンッ!!━




なんとも中国っ!といった感じの


飾りの付いた短剣が、手紙らしきモノと共に、


私の机に勢いよく刺さった。



こちらをチラチラ伺ってた乱馬は、


すぐさま私の机にやって来て、


机に刺さった短剣を抜き取り、


手紙を広げて読み上げた。



「…なになに、



『天道あかねへ。


 勝負を申し出る。


 本日放課後、


 ○丁目の空き地へ来られたし。


 ムース。』



 …何だこりゃ?!


 ムースの野郎、何考えてやがる!!」



乱馬は、読み終えると、


手紙をクシャクシャにして、握りしめた。




━乱馬、残念ながら、


 それを考えたのは、私よ。━



乱馬は振り返ると、


私に詰め寄ってきた。



「あかね!おめぇ、まさか行くつもりじゃないだろうな?!」



「行くわよ!


 天道道場の名にかけて、


 挑まれた勝負は、きっちり受けるわ!」



「何考えてんだおめぇーは?!


 おまえみたいなニブイ女が、


 ムースに勝てるワケねーだろ?!!」





ぎゃぁぎゃぁと喚く乱馬をよそに、


私は、心の中で、舌を出して笑っていた。



━さぁ、一世一代の賭けの始まりよ!!









━君の恋について聞いてみたい(中編2)fin

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