短編
□短い呟き。
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ピッ。
『…もしもし』
「んあ?お前かィ。なーにシケた声してんでィ」
『総悟…』
「どうかしたのかィ?らしくねーや。話してみろィ、聞いてやっから」
『……うん』
「ま、助言なんてたいそれたことは言えねェが人間吐き出したら幾分かマシになるってモンでさァ」
『……有難う。でも大丈夫。だけどさ、もしよかったら少しの間私の話し相手になってくれない?』
「なんだそりゃ、」
『…へへ、今ちょっと一人でいたくなくて。…誰かと一緒にいたかったから。』
「……。あー…待ってろィ、今からお前を掻っ攫いに行ってやらァ。」
『ぷ、大丈夫大丈夫。電話してくれるだけで。…あ、そうだー最近仕事どう?順調?』
「それが土方コノヤローがしぶとくてねィ。なかなか死んでくれないんでィ。あいつがいなけりゃ順調でさァ」
『いやいやいや、それ順調じゃないから。もう!土方さんを少しは労りなよー』
「だーれが労るんでィ。アイツを労るんならカピパラを労ってやらァ」
『何故カピパラ!?アハハハ、ヤバい。笑い過ぎて腹筋が痛い』
「笑い過ぎて歪んだサタンみてーな顔想像できらァ」
『どーいう意味だコラ。私がサタンだというのか!私の顔はサタンみたいだというのか!』
「ん、まあお前ェは悪魔っつーより小悪魔。」
『失礼な、私はそんな悪女じゃありませんー。貴方の方が悪魔ですよ。可愛い顔に騙される可哀相な女達がたーくさん。』
「ま、騙される方が悪ィ」
『酷!!悪魔っつーより貴方は悪の大魔神だね。女の敵ー!!…アハハハ、なんだか気持ちが明るくなったよ有難う、総悟。』
「そうかィ、そりゃあよかった。」
『…私、総悟みたいな人がいて本当よかった。』
「……ふーん」
『じゃ、またね!!
「あいよ、暇になったらいつでもまた電話しろィ。俺ァ基本暇人なんで」
『あんまり暇して土方さんにどやされないよーに気をつけなよ〜。…有難う。じゃ、』
ピッ。
ツーツーツー。
耳に響く機械音。
携帯を閉じて、近くにある座布団の上にポイと投げ捨てた。
あの小悪魔を本当に掻っ攫いに行きたかったんだけどねィ。
辛い時に一番初めに頼ってくれたのが俺で嬉しいっちゃあ嬉しいけどよ、ならなんでアイツの隣は俺じゃねーんだか。
しかもあの様子じゃ喧嘩でもして落ち込んでるっつー感じだねィ。…ハッ、ざまあ。
…あーあ。俺ならあんな風に不安になんかさせねーのに。なんで俺じゃねぇんだよ。バッカみてぇ。
でもアイツの笑った顔が見てーからわざと馬鹿なふりしてやらァ。