よろず部屋

□伝わりし想い(犬夜叉)
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おれにとってあいつは、ただのやっかいな女にすぎなかった・・・



遠くから子供たちの声が聞こえる。大好きなあの人を追ってきたから。

「桔梗様」

「桔梗様〜」

「どうした?お前たち」

前を歩いていた桔梗は後ろを振り返り、子供たちを見た。

「桔梗様、これね。母様から」

子供はお餅を渡した。

「良いのか?私がもらっても」

「うん、いいよっだって桔梗様に渡すようにって言われてきたから。」

「そうか・・・・ありがとう」

桔梗は微笑した。子供達は喜んで帰っていった。

桔梗はしばらく歩いていると突然立ち止まった。

「そこにいるのだろう?犬夜叉」

「・・・・・なんで分かったんだよ」

「お前の気は落ち着かなくて分かりやすいからな」

「・・・・・・・」

「お餅を頂いたのだ。一緒に食べよう?」

桔梗はお餅を掲げながらそこにいるだろう犬夜叉に微笑みかけた。

犬夜叉は舌打ちすると下に降りていった。


「おいしいだろう?」

「ま・・・・まぁまぁだな」

犬夜叉は少し恥ずかしそうな顔で答えた。

「なんで・・・・」

「ん?」

「なんで、警戒しねぇんだよ」

「警戒?」

「おれはお前の持つ四魂の玉を狙ってるんだぞ」

「そういう事か・・・・だが、犬夜叉は人を傷つけることは出来ないだろう?」

「なんでそう思うんだよ」

「お前が優しい男だからだ。」

「・・・・・・・」

(お前だから・・・・傷つけたくないんだよ・・・・)



「本当に・・・・ここで良いのか?」

「あぁ、鬼蜘蛛の手当てをしなくてはならないからな」

桔梗はそう言って立ち去ろうとした。
その時犬夜叉は桔梗の手を取った。

「どうした?」

「お前は・・・・・お前は俺のこと、どう思っているんだよ」

桔梗は少し驚いたが、犬夜叉の真剣な顔を見てきちんと答えた。

「・・・・・・聞きたいか?」

「・・・・・・・あぁ」

「私は、お前を愛している。他の誰にも負けないくらいな」

「・・・・・・・・っ」

犬夜叉は桔梗を抱きしめた。

「おれも・・・・お前が好きだ・・・・」

「あぁ・・・・知っている・・・・・」

桔梗は笑みを深めた。

「俺は、本当はもう四魂の玉なんざどうでもいい。
お前と一緒にいられればそれだけでいい。」

「私もだ、犬夜叉・・・」

「何があっても、おれはお前を守ってみせる。」

「・・・あぁ、期待している・・・・」

二人はしばらくの間抱きしめあっていた。



「遅いな・・・・・」

「すまなかった。少し用事があってな」

桔梗は洞窟にいる鬼蜘蛛に近づいた。

その時鬼蜘蛛は桔梗の体についている匂いに気がついた。

(男のにおいだな・・・・・)

「男に会っていたのか」

「あぁ・・・・大切な人にな」

その時見せた桔梗のほんの少し嬉しそうな顔に鬼蜘蛛は察した。

(好きなやつがいるのか・・・・・だが、渡さない・・・・・)

「鬼蜘蛛、どうかしたのか?」

「いや・・・・・」

(俺はお前を手に入れたい・・・・この手でお前を抱きしめたいその為なら・・・なんだってする・・・)

「そうか・・・なら、よいのだが」

(たとえお前を・・・・殺してでもな・・・・・・)



「・・・・・・・・・」

(桔梗を・・・・抱きしめてしまった・・・・)

犬夜叉は色々と考えていた。

お互いの想いが通じ合い、犬夜叉自身も嬉しい気持ちでいた。

(おれはお前を・・・・守ってみせる・・・)



最初のときは嫌なやつだとおもった

だが、あいつの心の強さと弱さの両方を見たとき、こいつも人間なんだと思った・・・・

そうしたら今までにない気持ちがこみ上げてきた。

おれはあいつが好きなんだと思った・・・だから、絶対に大切にしたい

その為ならなんだってしてみせるさ

やっと伝わったこの想いを・・・・これから大切にするためにもな








〜fin〜

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