散らし文

□お題
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「切に求めながら既に絶望」


酸素を肺に
吸って
吐く


生命を維持する為
当たり前に備わった事ですら
疎ましくなる瞬間


そんな絶望の味を
知っている


その手を離さないで、ここに居て欲しい。

それは身を焦がすような貪欲な願い。

側に居て、何も恐い事などないのだと、言い聞かせて欲しい。
慣れ親しんだ死の手触りも、孤独も。
何ものをも寄せ付けない強さを手に入れる、鍵を与えて欲しい。

それはひどく利己的な願い。


救われたい。
ただ、救われたい。 赦されて、生きたい。


それは切なる願い。


俺は、屋上の冷たいフェンスに指を絡め、手の甲に額を押し当てる。
目を閉じて、その一瞬の祈りを。
誰が聞く事もなく、無論届ける先もない、祈りを。
絶望と共にそっと唇に乗せた。


閉じていた目を開けて。
祈りを終えた唇には、笑みを。


冬の、雨が。
頬を流れ落ちる涙を隠した。
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