機動捜査隊(頂きもの)

□ジャンボパフェ
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「秋葉さん、あれあれ」
ファミレスで遅い昼食を差し向かいで摂っていると、梶原が壁を指差した。
秋葉が首を巡らせると、そこにあったのは『ジャンボパフェ』の文字の下にゆうに30pはあるパフェの写真。
「……」
露骨に嫌な顔を見せる秋葉に気づいているのかいないのか、
「入りますよね、あれくらいなら」
梶原が、秋葉の思いすごしか、目をきらきらと輝かせて話し続ける。
「一回あんなの食べてみたかったんですよ。ね、秋葉さん、あれ食べ」
ましょう?と言いかけた梶原の言葉を思い切り秋葉が遮る。
「一人で食え」
「えぇ〜?一人じゃ頼みにくいですよ〜」
「…頼むまでは、いてやってもいい」
「えぇ〜?男一人でパフェを食べるってどうよ?」
「…男二人で食うのもどうよ」
「えぇ〜?」
「何がえぇ〜?だ。食い終わったんなら出るぞ」
伝票を掴み席を立つ秋葉を、耳を後ろに倒した梶原が黒目がちな瞳をうるうると震わせ見上げてくる。
まるでそれは散歩に連れて行って貰えなくなった柴わんこのようで。
かわいい……。
秋葉は自分の中に生じたその感情をぎりぎりの所で呑み、否定した。
「…ほら行くぞ」
レジに向かう秋葉の後を慌てて追う梶原からきゅ〜〜〜んという鳴声が聞こえていた、のは聞き間違いではないはずだ。

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