機動捜査隊(頂きもの)

□野良猫
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「あの猫、秋葉さんみたい」
「はぁ?」
植え込みに明らかに野良とわかる、だがどこからか餌を貰っているのだろう決して痩せてはいない、二匹の子を連れた母猫。
「全然なついてくれないんです」
「猫と一緒にすんな。…餌なんかやるなよ。捕まるぞ。餌やりで警察官が捕まったらシャレにならん」
「この辺はまだ大丈夫ですよ。それに地域猫は対象外でしょ」
「生半可な愛情なんて貰っても迷惑なだけだって言ってるんだ。独りで生きていく力を人間のエゴで奪ってるって気づけよ」
「……」
黙り込む梶原に言い過ぎた、とさすがの秋葉も言葉に詰まる。
たかだか猫の餌やりに何でこんなに熱く言い募ってしまったのかいい年をして、と我ながらばつが悪い。
梶原の視線はじゃれあう子猫を尻尾であやす母猫らに向けられたままだ。
「…全然愛情を知らないよりはいいんじゃないか…って俺は思うんですけど…それも人間のエゴなんですかね…」
寂しげに微笑う梶原の顔を見ることができず秋葉は目を伏せた。

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