わんこ&にゃんこ

□今日のわんこ
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お父さん、お母さん

僕ね

迷子の迷子の


子猫を拾いました





最近の僕のマイブーム。
何だと思う?
…………脱走。
ここだけの話にしておいてね。
お散歩のあと、お母さん……つまりは僕の飼い主が少し緩めにリードを縛るから。
ちょっと引っ張ると簡単に外れちゃうの。


今日も2度目のお散歩へ。
とっとことっとこ。
ちゃっちゃかちゃっちゃか。

途中で大好きなモモちゃんにご挨拶。

とっとことっとこ。
ちゃっちゃかちゃっちゃか。

いいお天気。

そうだ、あのね、僕。
今日、脱走の途中で迷子のにゃんこに会いました。

きれいなきれいな黒キジ猫。
「あの……どうしたんですか?」
「………うるさい」
話しかければ、威嚇され。
鼻先をふんふん近づければ、ぴしっと猫パンチ。
「あいたたたたた」
僕、正直に言うと格闘技は好みじゃないの。
前足で鼻を撫でていると、それでも黒キジさんはまあるい目をして僕を見てた。
「あのぅ……」
いつもお父さんが僕に言うの。
まず話し合えって。
だから、僕は黒キジさんに話しかけた。
黒キジさんは、ひらりと長い尻尾を振る。
「お名前は?」
「……分からない」
ああ、なんて非協力的。
お父さん、僕、お話し合いなんて無理かも。
「じゃあ、おうちはどこですか?」
「……分からない……」
そこで初めて僕は気付いた。
もしかして、黒キジさんは心細いんじゃないかなって。
ちょこんとお行儀よく座って、一生懸命僕を見据えているけれど。
目が、うるうるしてるし……。
「寂しい、ですか?」
「…………」
尻尾の先がぱたりと動いた。
黒キジさんは初めて俯いた。
「柴犬になんか、同情されたくない……」
そうは言っても、ぱたぱたと足元に落ちる水滴は。
何だかとってもかわいそう。
かわいそうというか……ほっとけない。


よし!!今だ!!


僕は、思わず黒キジさんの首筋を、かぷりとくわえた。
「何するにゃ!!!」
いつだったか、猫のお母さんが子猫を運ぶ時にこうやっていたのを覚えてる。
そっと持ち上げれば、抵抗していた黒キジさんも手足を丸めておとなしくなった。


とっとことっとこ。
ちゃっちゃかちゃっちゃか。


途中でモモちゃんが何か言ったけど、返事は出来ない。
だって口を離したら、黒キジさんが逃げちゃうし。


とっとことっとこ。
ちゃっちゃかちゃっちゃか。



お父さん、お母さん。
僕ね、子猫拾ってきたの。
一緒に僕のおうちで暮らしても、いいでしょ?
ご飯は僕と半分こするから。
黒キジさん、飲み物は水でいいっていうし。


ねえねえ、お母さん。
ねえねえ、お父さん。

家族になって、いいでしょ?

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