-other-
□amore!
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すべて、すきなのです。
「ボスー、遊び行こうよー。」
ソファに居座るのは私。机の上には書類の山。
ボスはカリカリと止まることなくペンを動かす。
「名無子、てめぇはこれが目に入らねぇのか?」
ボスが指差す先は、書類の山。
書類なんか知るか、とか言いそうなボスだけど、仕事はきっちりこなすタイプだ。
そこは敬服の至りだ。
もちろんボスはどこをとってもすごいんだけど。ヴァリアーのボスとしての手腕はもちろん、超わがままなところとか。
「分かってるよー。分かってて言ってるんだから。」
そう言うと、グラスが飛んできた。
割ったら掃除が大変なのでキャッチする。
ふふん、もうボスの理不尽な攻撃の対処もお手の物なのだよ。
いやー、それしても相変わらずかっこいいな、ボス。
何なんだろう、あの滲み出るいい男オーラは。
ベルとかスクアーロも女性には人気だけど、ボスは群を抜いてモテるんだよなー。
まぁ、ボスは大人の色気のある女性陣にも、全く見向きもしないけどね。
「何見てやがる。」
その突き刺すような深紅の眼も、ぎろりと睨みつける目付きも、どうしてか怖いと思う反面、ものすごく惹かれる。
ボスにはマフィアを惚れ込ませるフェロモンか何かが出てんじゃないのか、きっとそうに違いない。
「ボスのー、フェロモンについて考えてましたー。」
「アホか。」
元々アホだったな、と溜息を吐かれて書類に視線が戻される。
…ふむ。
折角の非番だし、ボスと遊びに行きたい所なんだけど、その山を見ると忙しいのが明白なので、邪魔しちゃ駄目だろうなー、と諦める。
けれどもボスの部屋を出るのは寂しいので、ソファに寝そべった。
「おい名無子、何してやがる。」
ボスが怪訝そうに声を掛けてくる。
「ボスが忙しそうなので、邪魔しないようにここで寝るの。」
「うぜぇ。寝るなら自室で寝ろ。」
ボスの方に顔を向けて、にこりと私は笑う。
私の大好きな深紅の眼は、しっかりと私を見据えている。
「へへー、ボス、書類終わったら、ご飯食べに行こうねー。」
ボスの発言は無視して、私はもぞもぞとソファに体を横たえ、瞼を閉じた。