-other-
□蒼に恋
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流石は伊達軍とも言うべきか、死傷者の数は最小限のもので、今後の戦には然程影響を及ぼさない程度の被害で済んだ。
「政宗、随分と御機嫌だな?」
奥州へと帰る道すがら、名無子は政宗に尋ねた。
「Ah?そりゃまぁ、な。」
幸村との一戦の熱がまだ冷めやらぬ様で、政宗は笑っていた。
忍である名無子にとっては理解に苦しむが、武士は戦いを愉しんでいる所がある。
忍にとっては汚れ役、また駒の様な存在でしかない為に、戦を愉しむ心情など理解できない。
だが、主が戦を愉しんでいるのらば、それもまた幸福。
「次は、勝って奥州に帰りたいものだね。」
毎度毎度、佐助と戦うのも骨が折れるんだ、と名無子が苦笑した。
政宗は馬の手綱を握り直し、名無子に笑いかけた。
「Yes,I want to pray so!!(ああ、そう願いたいね!!)
名無子との約束もあるしな。」
何時までも真田幸村にかかずらっていては、天下統一など、ほど遠い存在だ。
天下の先の平穏には、遠い。
戦のない世界にしてみせると、名無子の前でそう断言したのは、遠くない昔の話。