-戯言-

□兄妹的抱擁
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血脈は時として血族を超える。











「貴方の妹だなんて、嫌だよ」

綺麗な髪をそのまま垂らした少女は、手に紅く染まったナイフを握り締め、眼前にいる針金細工のような体躯の男にそう言い放った。

男は、自身のオールバックにした髪をすいて眼鏡を直す。


「ふむ。しかしそう言われても、君は明らかに零崎になってしまっているからね。
家族を迎えに来て、何が悪いことがあるのかな?

おいで、―‥‥‥‥」


不意に名を呼ばれた気がしたけど、私の耳には入らない。
それよりも私に差し出されている手の方に意識がいってしまっている。


「‥‥‥‥‥家族‥‥‥‥‥?」


私の言葉に針金細工のような男は微笑み、私に近付いて来た。

「そう。君も私も零崎という殺人鬼の家族の一人。そうだね、君の名前は七織、としようか」


「……零崎……七織…」
「そう。素敵な名前だろう?」
スーツの折目を、正しく直しながら男は言う。
スーツが似合わない男だな、と『七織』は思った。




「貴方の名前は?…お兄ちゃん」

七織の彼を兄と認めた発言に男は嬉々として言う。


「私の名前は自殺志願、零崎双識だ。
初めまして、可愛い妹」




双識の言葉に七織は、少女とは思えない位に、ひどく妖艶に微笑んだ。
双識も、薄く笑みを浮かべる。



双識は掌を七織に差し出した。



「じゃあ家に帰ろうか、七織」





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