-戯言-

□兄妹的催事
1ページ/3ページ



「レン兄のケチーっ!ばかーっ!アス兄やトキ兄の心の深さを見習って下さいよ!!」


今日も今日とて零崎家は賑やかです。
「ダメったらダメです」
「やーですー。もう決まったんですからね」
双識と七織が言い合っている。
それを軋識と曲識は、平和っちゃねー、とか、こんな時間も悪くない、とか言いつつお茶を啜り、呑気に眺めている。



「いーじゃないですかぁ!ね、二人共!!」
七織は我関せずを決め込んでいた軋識と曲識に尋ねる。


「あー、うん、いいんじゃないっちゃか」
「和服の七織も、悪くない」
若干軋識は投げやりではあったが、二人とも七織に同意した。

「ほらー」
と七織は胸を張る。
しかし双識は尚も反対する。
「ダメったらダメです。お兄ちゃんは認めません!
可愛い可愛い私の七織ちゃんが、女学生風な和服を着てどこの馬の骨とも分からない奴にサービスだなんてっ」

「むぅ、たった一度の文化祭なんですよー!?」


そう、もうすぐ七織の通う高校で、文化祭がある。
それで、七織のクラスは『和風喫茶』をやることになった。
男子や女子全員和服に身を包み、学生風な風体で接客するのだ。

双識にしてみれば、そこが気に入らないらしい。
自らの可愛い妹が、どこの馬の骨とも分からぬ奴に接客するのが相当嫌なのだろう。




「…………むー。大丈夫ですよ。私は2時間しか接客しないんだから」
と七織は双識を説得しようと試みているが、中々納得してくれない。




そこに、軋識の一言。
「……文化祭じゃなきゃ、女学生風の七織なんか見れないっちゃよ」
「アス兄、ナイス発言!
そうですよ、文化祭じゃなきゃ、レン兄に接客なんてしないですよー」
七織はここぞとばかりに言う。
そしてとどめの一言。



「…レン兄に女学生風の恰好でいらっしゃいませ、ってやりたかったのになぁ」



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ