-復活-

□カメラメカ
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「お前って、本当に写真が好きなのな」
「暗室にいきなり入ってきて、第一声がそれか」



並森中学校の暗室。
七子は、最近撮り終えたフィルムを現像する為に、暗室に篭っていた。

そこへいきなり不躾にも入ってきたクラスメイトを怒ろうとしたが、彼の純粋な笑みに毒気を抜かれてしまった。



「山本、もし私がフィルム巻いてたらキレてたよ?
大事なフィルムがおじゃんになっちゃうじゃないか」

フィルムを現像する際、フィルムを巻く作業がある。
その時にフィルムに光が当たらないように暗闇で巻かなくてはいけないのだ。

「マジ?悪い悪い」
気を付けるな、と軽く言う山本に、七子は溜息を一つ吐いた。

「まぁ、いいよ。何の用?」


七子は山本に話し掛けながら、フィルムに現像液を浸す。
現像は時間との勝負だ。

いい写真をいい状態で現像するには、時間が重要になってくる。

「ん、いや、さっき七子が暗室入ってくの見えたから、何となくな」


何となくかよ。


「それにしても、七子って本当に写真好きなのな」


山本は無邪気に笑いながら、近くにあったアルバムを開く。
暗室にあるのは、大概が私の作品だ。皆はあまり暗室を使わない。

作業が大変だからだろう。

「好きだよ。山本が野球好きな位に、私は写真が好き」





一瞬間を納める感覚は、何となく心地良い。
現像は大変で、臭い薬品の匂いもまだ慣れない時だって、失敗だって大いにあるけれど。


それでも自分で現像するのは、私にとっては楽しい。




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