-other-
□春は過ぎ、夏が覆う
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眼前に広がる空を、独り占めしているようで心地がいい。
「晋ちゃん。銀八先生が捜してたよ?」
「…名無子。」
高杉は、顔にかけていた日避けの為の雑誌を払い除けた。
そして、ちらりと名無子の姿を確認する。
「また授業サボって。補習させられちゃうよ?」
名無子が心配そうに尋ねてくる。
高杉は眠そうにしながら、名無子の質問に答えた。
「あの面倒臭がりな野郎が補習なんか開くか。」
高杉の言葉に、名無子は確かにそうだねー、と微笑んで肯定する。