-other-
□本日の御予定
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日本橋。
今日も今日とて、人、人、人で賑わっている。
「こんにちはー、黒鳶いますかねー。いますよねー。」
不躾とも言える雰囲気で萬屋に入ってきた少女だが、萬屋に行き慣れているが故の砕けた様子らしい。
誰も咎めることなく、挨拶を返している。
「こんにちは、名無子ちゃん。今日も元気ね。」
実質的に萬屋を切り盛りしている紅鳶が名無子を迎えいれた。
「紅ちゃーん!!黒鳶は?」
今日は火鼠と遊ばせてくれるって約束したんだ、と名無子はこっそり紅鳶に耳打ちする。
「そうなの。」
紅鳶はにっこり微笑み、そう返したが内心は疑問を抱く。
兄と良い関係で兄に会う為ではなかったのか、と。
「おんやぁ、名無子さんじゃないですか。」
飄々とした雰囲気で、黒鳶が帰ってきた。
「黒鳶ぃ、約束!!!忘れたとは言わせないぞ!!」
がばっと名無子は黒鳶に抱き付き、黒鳶も満更ではない様子で抱き留める。
「あぁ、はいはい。そうでしたねぇ。
あ、名無子さん、少しだけ、待って頂けます?」