-戯言-
□兄妹的抱擁
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ゆったりと双識の手を取り血濡れたその場から立ち上がる。
「はぁい、お兄ちゃん」
きゅ、と双識の手を握り締める。
まるで、家族という感覚を噛み締めるように。
双識は七織の素直な返事に気をよくしたようで、微笑んだ。
静かに音もなく部屋を出る。
あるのは七織が殺めた命の抜け殻。七織の、元の、家族の。
双識は妖しく微笑む。
七織の『異質』に気付いた家族は七織を殺そうとした。
元々、陽の光を受けて生きていけるような家系ではなかったから人殺しでどうこうなるようなことなどない。
七織はその瞬間『起きた』のだ。
零崎の血に目覚めたのだ。
そして
零崎らしく彼らを斬殺した。
零崎らしく彼らを惨殺した。
零崎らしく彼らを刺殺した。
零崎らしく彼らを抹殺した。
双識はそれを察知して来たのだが、予想外だった。
まさかこの人数を一人で殺してしまうだなんて。
零崎の血までもが、異質だと思った。
「お兄ちゃん?」
ああ、でも、異常な程可愛い妹を放っておく訳にはいかない。
双識は握った手を愛おしく思いながら、七織を抱き締めた。
可愛い妹と愛の抱擁
(本当に可愛過ぎてどうしよう)
(お兄ちゃんもカッコいいよ)
―END―