-other-
□蒼に恋
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「で、どう?竜の旦那はそんなにいい?」
「ああ。何処ぞの熱血漢よりずっとな。」
遠回しに武田に来ないかと誘っているのだろう。
かすがにも以前、勧誘された。
同郷の忍で戦い合うのは本意ではない。
だが主の野望に阻む輩であれば、魔王だろうと虎であろうと、排除するのが忍と言うもの。
「かすが程じゃないけど、やっぱり崇敬してるんだ、政宗を。」
誰にも仕えず生きていこうと一度は思ったが、伊達政宗と言う人物に会い、自分の世界は変わった。
この人の為に戦いたい。
この人の為に死にたい。
この人に、仕えたい。
そう強く、思った。
「単純明快な理由だね。」
佐助が呆れるでもなく、嘆くでもなく、ただ静かにそう言った。
佐助も、私も、かすがも。
結局のところは同じ。
主の為に生き、戦い、奮い、勇んで、死んで行く。
同じ穴の貉。
まさしくそんなところだ。
それが忍の性だと言われれば、それでお終い。
忍の性を心底嫌がっていたにしては、随分と忍らしい自分に、自嘲と苦笑する他ない。
「ふふっ、まぁいいや。
じゃあ、また、次に。」
政宗と幸村の攻防が終息したらしい。
また引き分けだろう。
勝鬨もなく、伊達軍も武田軍も引いて行った。