-other-
□奏で
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貴方が教師になる頃、私は夢を叶えられているかしら。
小さい頃、貴方が褒めて、もっと聴きたいって言ってくれたから私は―…
奏でることは人を幸せにする力を持っているのだと知った。
これは一種の賭け。
私の【奏で】は人を幸せにするに足りうるものか。
「……ねぇ、佐助。」
「んー?何?名無子。」
「もし、私が夢を叶えられなくて、将来路頭に迷ったら……私の後押しした責任、とってくれる?」
我ながら、どういう告白の仕方だろうかと、呆れる。
佐助はぽかんとしてから顔を赤らめ、微笑んだ。
「……いいよ、幸せにしてあげる。」
まぁ、夢が叶っても叶わなくても、名無子は俺が貰うけど、と佐助はいつもの如くへらりと笑った。
彼の奏でる旋律は、私を幸せにする。
私を救う約束と言う名の。
―END―
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