Novel

□気まぐれな猫のように
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さっきから半助の様子がおかしい。

利吉の方を見ては顔を伏せる。
こんなことをかれこれ数回繰り返している。
最初のうちは面白いと思っていた利吉も少し不安に思えてきた。


半助さんは自分が来てからずっとこの調子で、何か自分に隠し事があるのではないか、

利吉はそう思った。


「土井先生」
利吉はたまらず半助に呼び掛けた。

半助はびくりと体を反応させたが、利吉のほうには振り向かなかった。

「返事をして下さらないならせめてこちらを向いて下さい」

もう一度声をかける。
しかし、反応はまったくない。

いつもなら何かしら反応をくれる。
しかし、今日に至ってはまったく反応がない。
利吉の声が聞こえているかも怪しく思えてしまう。

利吉は声をかけるのを諦め、半助の前へと回りこんだ。

「土井先生!」
「?!」

まさか回りこんでくるとは思わず、半助は驚愕した。
しかし、驚愕したのは半助だけではなかった。

利吉も驚愕した。
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