Novel

□甘すぎた果実
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「なあ文次郎、お前から口吸いしてくれよ」
「…はあ?」




留三郎の部屋で文次郎と留三郎は勉強をしていた。
勉強の内容は兵法についてであり、色事の勉強ではもちろんなかった。

「いきなりなんだよ、するわけないだろバカタレ」

一度手を止め、向かいに座る留三郎を見たが、くだらない、と思い勉強を再開した。
「なんでだよしてくれてもいいんじゃないか?」

−私達はそういう仲だろ

文次郎の耳元でささやいた。
「ぁっ…バカタレ!そんな恥ずかしいことできるか!そもそも、頼まなくてもお前の方からいつもしてくるだろ」

その言葉に留三郎は大きくため息をついた。


「何だよ」
「あのな文次郎」

留三郎は文次郎の顔に近付く。

「っ!近いんだよお前は!!」
「文次郎、してもらうのと、してあげるんじゃ違うんだぜ?」

まっすぐな目で文次郎の目を見つめる。
文次郎はいつものようにバカタレ、と言おうとしたのだが、留三郎の顔はいたって真面目であり、気まずくなって俯いた。

「お前は口吸いとか慣れてないもんな無理言ってわるかったよ」
「留三郎…………」

留三郎はちょっとがっかりした面持ちで勉強を再開した。
文次郎は目をきゅっとつぶった。
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