テイルズオブジアビス
□理由は寒空だけが知っている
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―パンッ
寒空の下に乾いた音が響いた。
【理由は寒空だけが知っている】
ケテルブルクのホテルは広い。
しかし、いくら広くてもホテルの中を走り回ってはいけない。そんなことルークにもわかっている。
しかし、そんなことを気にしている場合ではなかった。
ルークは303号室の部屋の前で止まり、ドアを軽くノックした。
「誰?」
ティアの声がした
「俺だ!ティアあけてくれ!!」
ルークは大きな声で叫んだ。他の客に迷惑がかかる、とティアに怒られるかもしれないと思ったが、ルークはかまわずもう一度叫んだ。
「ティア!!あけ―」
言葉を切るようにティアがドアを開けた。
その表情は、とても怪訝であった。
「あなたねぇ、ガイにこういう場では大声を出すな、って教わらなかった?」
穏やかだからこそ恐い声。
「っ……教わったよ…でも今はそれどころじゃ」
急かすように言う
「……何?何か急いでいるようだけど」
「実は…」