テイルズオブジアビス

□消すもの
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「雨…」

ルークは一言呟くと、立ち上がり、窓辺へと向かった。

「寒いと思ったら雨降ってたんだなー」

外を眺めながらルークは、椅子に腰掛け、本を読んでいるジェイドに話しかけた。

「今日の降水確率は100%でしたからね」

淡々とジェイドは言う。
言っている際も、目線は本の活字を追っていた。
―器用な奴。
ルークはそう思わずにはいられなかった。


「俺雨って好きだなー」
ルークは少しだけ窓を開けた。

「私は嫌いです」

ジェイドは読んでいた本を閉じ、ルークの方を向いた。

「髪がまとまらないとか?」
顔だけをジェイドの方に向き、冗談めいて言った。
「いったいあなたはどこでそのような事を覚えるんでしょうね」

ジェイドは不敵な笑みを浮かべた。
その顔にルークは背筋が凍った。


「私は雨は嫌いです」

再びジェイドは言った。

「ふーん。ジェイドにも嫌いなのあったんだな」
「えぇ、ありますよ」
「意外だ」

ルークは窓辺を離れ、弾力のある椅子に座った。
ルークは何をすることもなく、ただ雨を見ていた。
ジェイドは再び本に目を向けた。

しばらくの間沈黙になった。
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