二人の部屋
□勿忘草
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『お主、ここは危険じゃ。早々に立ち去れ』
<ゴオォォォォォォオ>
悲痛な呻き声と共に現れた虚
『あ、あう…』
動けなかった
腰が抜けて、恐怖から足がすくんだ
声が出ない
『目を…瞑っておれ』
一瞬だった
その人が消えたと思ったら、虚が消えた
『大丈夫か?』
頷くことしか出来ない
お礼を言わなきゃ
早くしなきゃ行っちゃう
『あ、あの『お主、身寄りはあるのか?』
勇気を出して出した言葉は途中で掻き消されてしまった
『い、いいえ』
嘘を吐いた
“はい”と言ったら行ってしまいそうだったから
『そうか』
『あの『儂のとこにこんか?』
『え?』
『儂のところで死神にならんか?』
『はい!』
その死神は白い羽織を靡かせ、僕に手を差し伸べた
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