二人の部屋

□撫子
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遠く離れた君に






両手いっぱいの









花束を














   【撫子】






















5月29日
あと数日で6月になる、この日
愛する人、藍染惣右介の誕生日

しかし、今年は傍にいない



『今年は無理か』



毎年、この日には頭をフル回転させて選んだプレゼントを送っていた



『うーむ』



あっと言わせたい

またプレゼントを見て、はにかむような笑顔が見たい


大胆で真っ直ぐに愛してくれる
儂の大切な恋人



『せめて逢えれば』



叶わぬ想い

今、奴は虚圏

逢えぬ間柄になってしまった












『惣右介、誕生日おめでとう』



お主が生まれ、出会えたことを心から感謝する



花束なんて照れ臭いもの

じゃが、愛する者のため



両手いっぱいに



『ここに来てくれ』



二人暮らした家の跡地




誕生日花の撫子を君に
























ありがとう重國



『大切にするよ』



逢うことは許されない

だけど一目でも、彼に逢いたかった


己の誕生日だから
尚更に



いつか

やることが終わったとき


君はまた僕を受け入れてくれるかい?

また愛してくれる?



この撫子と共に僕は



悪の道を進むしかない


















END
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