「用語集」
□現代思想哲学用語集・補充頁
1ページ/1ページ
▽じぶんかちゅうしんしゅぎ[自文化中心主義]
われわれは自分たちが今手にしているものから始めるしかないという立場。
ローティの用語。
(富田恭彦「クワインと現代アメリカ哲学」18頁)
▽しへのせんくてきかくごせい[死への先駆的覚悟性]
死を意識することにより自己のかけがえのなさを認識することで,よりよい人間本来の生き方を目指そうとする意識のあり方。
ハイデガーが唱えた。
(堀口哲「おもしろ哲学史」290頁)
▽しほんのぶんかてきさよう[資本の文化的作用]
資本主義の発達と共に交易をする範囲が拡大するため,偏狭な地方性が打破され,国際化が進むという考え方。
マルクスが主張した。
▽しゃかいがくしゅぎ[社会学主義(仏sociologisme)]
人の考え方は社会状況に左右されるのだから,あらゆる科学は社会学の一部にすぎないという考え方。この考え方は,絶対的に正しい真理はないという相対主義に結びつく。デュルケム,マンハイムなどが主張した。「社会構成主義」ともいう。
(木田元「現代の哲学」34頁)
▽しゃかいし[社会史]
歴史に対する見方の1つ。各国により用法が異なる。
イギリス=民衆運動史
ドイツ=社会構造史
フランス=社会的紐帯,心性史
(清水正義「歴史学の社会的役割をめぐって」「白鴎法学13巻2号」46頁)
▽しゃかいしゅぎ[社会主義]
マルクスの用法で言えば,共産主義においてまだ国家支配が残り,生産力が十分に展開されていない段階(鷲田小彌太「現代思想キイ・ワード辞典」65頁)
▽しゃかいゆうきたいせつ[社会有機体説]
社会を有機体(生物)と捉える考え方。
社会学における最初の実証主義者と呼ばれるオーギュスト・コントが唱えた。この捉え方はあくまでもアナロジー(類比)にすぎず,一人一人の人間がどういうふうに全体としての社会を作っているかきちんと説明できないことから,下火となった。
▽じゆう[自由]
自由の概念の捉え方には,大きく2説ある。
[T]外部的障害がないこと(ホッブズ)
勉強しないで,遊びに行けるという意味での自由。
[U]意思によって誘惑を断ち切り自己の行為を制御できること(カント)
遊びに行きたいという誘惑に打ち勝って勉強できるという意味での自由
「意志の自立(Autonomie)」こそが自由であるとする。
(笹澤豊「自分の頭で考える倫理学――カント・ヘーゲル・ニーチェ」19頁)
▽しゅうきょうかいかく[宗教改革]
体制化したキリスト教(スコラ哲学)を批判し,原始キリスト教の精神に帰って,キリスト教の信仰を復活させようとした運動。
代表者は,ドイツのルター(1483-1546),フランスのカルヴァン(1509-1564)。
▽じゆうさいせい[自由再生]
何の手がかりなしに過去の出来事を思い出すこと。
心理学上の3つの想起のあり方のうちの1つ。
▽しゅうだんてきじえいけん[集団的自衛権]
ある国が武力攻撃を受けた場合,これと密接な関係にある国が,その武力攻撃を自国の平和と安全を脅かすものとみなして,被攻撃国をえん助し共同して防衛にあたる権利。
(「法律学小辞典」511頁)
▽じゆうほうろん[自由法論]
@ 制定法のみを法とする法実証主義を批判し,法の無欠缺性の想定を批判して,非制定法的法源の存在を主張し,概念的方法から解放された「自由な法の発見」と裁判官の裁量権の拡大を主張した。(「法律学小辞典」513頁)
A法あるいは法律は完全なものではないことを認識し,そのうえで,法文に拘泥した形式論理主義的解釈はやめるべきであること,広い分野においてその適用されるべき法源を求めるべきこと,その結果裁判官は自由裁量の余地を与えられ,法の欠陥を補うため,解釈による法創造をなしうべきことを主張した(小林弘人・松村格「法学・憲法」140頁)。
▽しゅかん[主観]
意識。
▽しゅかんてきかんねんろん[主観的観念論]
ドイツ観念論のうちの考え方の1つ。
実践と理論の総合をするにあたり,実践を重視する考え方。
フィヒテが唱えた。
▽しゅじょうしゅぎ[主情主義]
→非認知主義。
▽しょうきょくてつがく[消極哲学:negative Philosophie]
理性によって事物の本質を捉えようとする哲学的な立場。
シェリングが、ヘーゲルの哲学に貼ったレッテル。対して、自己の立場を積極哲学と呼んだ。
(木田元「現代の哲学」40頁)
▽じょうざぶぶっきょう[上座部仏教]
釈尊の教えを厳格に守り,解脱をめざす修行者を声聞(しょうもん)といい,この伝統を守り続ける仏教をいう。インドから南アジア(スリランカ,ミャンマー)に伝わった。声聞仏教(しょうもんぶっきょう),南伝仏教ともいう。⇔大乗仏教,菩薩仏教,北伝仏教。
▽しょりすいじゅんかせつ[処理水準仮説]
記憶は知覚的な処理の結果得られるものであり,記憶の良し悪しはその処理の深さによって決まるという考え方。
単語を使用した実験によると@形態のみを処理する,A音韻についても処理をする,B意味についても処理をする,C更に意図を持った上で処理をするという風に処理が深まるに従って記憶がよくなることが認められた。
▽しりょう[史料]
過去を明らかにする際に依拠できる証拠のこと。
(小田中直樹『歴史学ってなんだ?』26頁)
▽しりょうひはん[史料批判]
正しい認識を得るために史料を利用する際の手続のこと。
(小田中直樹『歴史学ってなんだ?』62頁)
▽しれい[指令]
さしず。命令。
▽しん――[新――]
歴史の中で各種の考え方が現れては消えるが,時に,かつて現れていったん捨て去られた考え方に回帰しようとすることがある。このような考え方は「新○○主義」などと呼ばれるが,一々取り上げると,「し」だけが膨大な項目量となることから,詳細欄に一括してまとめることとした。
→[詳細]
▽じんかくせいのげんり[人格性の原理]
自分の人格のみならず,他人の人格のうちにも存在する人間性を,手段ではなく,常に同時に目的として取り扱うように命じる原理。
カントが唱えた。
(新田孝彦「入門講義倫理学の視座」245頁)
▽しんごう[信号]
徴候の役割をはたさせるために人工的に生み出された事実。
▽しんじょうりんり[心情倫理]
行動が「善き意志」によってなされたものであるか否かを基準として人間の行動の善悪を判断する倫理観のこと。
マックス・ウェーバーが唱えた倫理的な問題に対する態度のうちの1つ。
もう1つは,「責任倫理」。
▽じんぶんしゅぎ[人文主義]
ルネサンス運動の開始となった古代ギリシア・ローマの古典を各人が直接読んで,そこから新たに人間を捉え直そうとする考え方。
オランダのエラスムス(1467-1536),イギリスのトマス・モア(1468-1535),フランスのモンテーニュ(1533-1592)が代表的な人文主義者。
▽しんり[真理]
本当のこと。正しいこと。(08.5.30)
→[詳細]
▽しんりしゅぎ[心理主義]
人の思考は心理状態に左右されるのであるから,あらゆる学問は心理学の一部分であるという考え方。
(木田元「現代の哲学」33頁)
∇しんりてきしやきょうさく[心理的視野狭窄]
ごく近い将来のこと、あるいはごく身近なことしか目に入らなくなること。心理学用語。
→[「し」前半へ]
→[目次]