「日誌撰集」
□哲学の価値
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第2 哲学に対する肯定的な見方
哲学の価値については,世の中あらゆる事柄と同様,二つの見方があります。
価値が「ある」のか「ない」のか。
殊に「役に立つ」という意味で。
役に立つのだ,という人もいます。
1 価値を呈示するものとしての哲学
より良い人生を営む上での選択の基準を得られるという人もいます(川本和彦「センター試験倫理」前書き)。
ストレートに書いてある手元にある本がこの本だったので引用しましたが,この本の著者以外にもこのような主張をする人は多くいます。
しかし,哲学をやっている人が,そうでない人よりもよりよく生きているのか,うらやましがられる生き方をしているのかというとそうでもありません。
哲学など考えずに「複雑性を縮減」(ルーマン)して,楽しく遊んでいる人の方が充実した人生を歩んでいるように見える。
ここで反論が出ます。
「いや,違うのだ。そのような人は,かりそめの幸福の中に生きているにすぎない。『本当の意味で』良い人生を生きているわけではないのだ。」
しかし,このような反論には,「道徳主義者の復讐心」が見えなくもありません。
そもそも「本当に」「良い」とはどういうことなのでしょうか。
私たちの個人的な好みを超越した「本当の」「価値」などあるのでしょうか。