「日誌撰集」

□「私的芸術論」
5ページ/13ページ

3 個性的であることの凡庸さ

 一体「個性」があるということは,そんなにすごいことなのでしょうか。
 
 人間という生物種の個体相互に共通性があることは明らかです。
 共通性があることを前提としなければ,「人間という生物種」自体観念できません。
 とはいえ,その共通性の範囲内において,個々の人間に相違があることも明らかです。
 
 人それぞれ個の性質は異なります。
 したがって,個の持つ特殊性は,あらゆる個が持つものであって,その意味では,特殊性の保有は一般的な事柄です。
 誰もが個性を保持しており,その意味では皆同じ。
 それ故,個性の保有が,他の個から優越する理由とはなりません。
 個性の保有は,凡庸なことです。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ