「日誌撰集」
□生きることの意味第T集
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2 予備的考察2:「『生きる理由』は何か」という問いであるとは,どのような問いか?
「生きる意味とは何か」という問いについて,一般的な理解は,「生きる理由とは何か」という意味であると理解する考え方もあるでしょう。
しかし,「生きる理由とは何か」という問い方にも二つのものがあるでしょう。
1つは,「事実としての理由」という意味で問う問い方。
もう1つは,「当為としての理由」という意味で問う問い方です。
そして,通常は,後者の問いの意味で用いられるのでしょうが,そのことを理解するために,前者の問い方について考えてみます。
前者の問いとは,特定の人に対して,「生きる動機」を聞く問いです。 様々な答があるでしょう。
「よりよい仕事をしたいから」
「よい思い出を残したいから」
「未来に子孫を残したいから」
「おいしいものを食べたいから」
「本能」
「死んだから周りの人が悲しむから」
「もっと面白いことがあるかも知れないから」
等々。
この答は,その問いの性質上,人それぞれで,人ごとなのですから,答から新たな問いが生まれたりするような発展性はありません。
しかし,多くの場合,この答に対し,更に問いが発せられることによって,会話は発展していきます。
問いを発する人は,多くの場合,次のような問いを続けるでしょう。
「なぜ,そう思うのですか。」
あるいは,答える人自身が答える時点で,自らその答の理由を補足して説明するでしょう。