「日誌撰集」

□自立
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官僚組織に頼らず、市民が自立的にセーフティーネットを作り上げるには、市民による連帯が必要ですが、それは不可能事に思えます。

たとえば、ホームレス等を対象とした簡易宿泊施設における過剰収容や生活保護費の搾取の問題について、「年越し派遣村」の活動などで知られるようになった湯浅誠は、「施設への補助と規制を強め、最終的には行政が責任を持って施設を運営するしかない。」と語ります(『毎日新聞』09.05.28)。
湯浅のような市民運動家ですら、市民による連帯を断念し、行政にすがろうとします。

よく阪神大震災などの大規模な自然災害でボランティア活動が活発に行われることが話題になり、肯定的に評価されます。
そうであるのに、なぜ、市民の連帯ができないという矛盾が生じるのか。
それはこの種のボランティア活動が、非日常的なシチュエーションを半ば楽しむ自己実現の手段であるのに対し、社会保障制度に代替されるような相互扶助は、日常的な労働であるからです。
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