過去拍手
□作戦成功
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「…………は?」
目の前にいたウルキオラは、信じられないものを見るかのような目で彼女を見つめ返した。
「だからぁ、今夜部屋に泊めてほしいの」
「……頭でも打ったか?」
「誰が!」
違うわよ、とむくれる彼女にも、ウルキオラは相変わらず懐疑心剥き出しの表情で。
「ほら、今虚夜宮で大掛かりな増築してるのは知ってるでしょ?」
「……ああ」
藍染が崩玉を手に入れてからというもの、虚夜宮に住まう破面の数は急増した。
当然部屋の数には限りがあるわけで。
そろそろ頃合いだな、という藍染の一言で、虚夜宮の大増築が始まったのである。
「――でね。その増築する場所が、ちょうど私の部屋のすぐ横なんだって。
で、工事は明日いっぱいかかるんだって」
「……それで?」
「うん。だから藍染様が、工事中はうるさくなるから今夜は誰かの部屋に泊めてもらいなさいって」
「…………」
にこ、と首を傾げて悪びれもなく言ってのける彼女。
いや待て、おかしいだろう。
そこで何故俺になるんだ?
普通もっと他に選択肢があるはずだろう。
ぐるぐると頭の中で考えて、ウルキオラが行き着いた答えは。
「……おまえ、友達いないのか?」
「失礼ね、ウルキオラに言われたくないわよ。
友達ならいっぱいいます!」
無論そうだろうな、と思う。
ウルキオラが見る彼女は、大体いつも友人に囲まれて笑っていることが多い。
その中に度々男の姿も交じっているのが気になるところではあるのだが。
……しかしそうだとすれば尚のことわからない。
仲のいい友人が何人もいながら、何故あえて俺のところに来るというのか――
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