過去拍手
□ただいま
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一年半ぶりの木ノ葉の里は、記憶の中と何一つ変わらない美しい風景を保っていた。
すうっと大きく息を吸い込む。
澄んだ空気が心地良い。
見慣れた街並みも、吹き抜けるそよ風も、何もかもが懐かしい。
「帰ってきたんだ――」
声に出して言ってみたけれど、まだ実感は沸かない。
きっと、カカシの顔を見るまでは。
その後、共に帰郷した仲間達と五代目火影の元へ参じ、帰還の挨拶と一年半分の任務報告を済ませてきた。
綱手から解散の号がかかるや否や、すぐさま足を向けたのはもちろんカカシの家の方向で。
通い慣れた道のりは目を瞑っていても歩けそうな気さえする。
会いたい。
早く会いたい。
だがその行程をちょうど半分ほど進んだところで、不意に足がすくんだ。
……あれ?
どうしたの、私。
カカシに一秒でも早く会いたくて、里までは休息もそこそこに走り詰めてきた。
それは仲間達に「頼むから少し休ませてくれ」と懇願されるほど。
それくらい、会いたくて会いたくて堪らなかったのに。
……おかしいな。
足が震えてきちゃった。
長い時間を経たはずなのに、あの頃とまるで変わらない里。
でも、彼の心は?
一年半。人が心変わりをするには十分すぎるほど長い時間。
本当に、彼は今でも私を待ってくれているの?
そう思うと急に不安になって、カカシの家を完全に視界に捉えたところでとうとう足は動かなくなった。
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