過去拍手

□三周年メドレー
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◇ウルキオラ◇


「ウルキオラ!今日休みって本当!?」


騒々しい声と共に扉を開ければ、その部屋の主は悠々とベッドに寝転んでいた。



「ああ。任務が延期になった」


「やったー!まさか休み取れると思わなかったから今日は諦めてたの。予定入れなくてよかった!
ね、どこに行く?現世に遊びに行く?それとも――」


「そうだな……ここはどうだ?」


行きたい場所を指折り数え始めた彼女の言葉を遮って、ウルキオラはポンポンと自分の左側を叩いた。



「……何それ」


「たまの休みくらいゆっくりさせてくれ」


眩しいくらいに輝いていた表情が一変、みるみる顔を強ばらせていく。



「ウルキオラ。今日は何の日でしょうか」


「三年前、おまえがやっと頷いた日だろう。
あんなに意地っ張りだとは思わなかったな。おまえがもっと素直になっていればあと半年くらいは早かったんじゃないか?」


「今はそんなことはいーの!
だから、そう、今日は私たちの三周年記念日なんだよ?特別な日なのに!」


「特別?」


「特別でしょ!」


「……そうか?」


「そうだよ!何よ、ウルキオラはどうでもいいって言うの!?ああもうっ!」


すっかりへそを曲げてそっぽを向いてしまった彼女に、ウルキオラは小さく笑いながら手を伸ばした。



「――そういう意味じゃない。
おまえが隣にいれば、それだけで俺にとっては毎日が特別だ」



言の葉が響くと同時に身体が沈む。


気づけば彼の上に覆い被さるようにして倒れ込んでいた。



「ウル――」


「……これ以上の特別があるか?」


優しく髪を梳きながら下から見上げてくる翡翠の瞳には、人の心を抗いがたくさせる不思議な力がある。



だって。


そんな言い方されたら。



「ない、かも」


頷くしかないじゃない。



ふっと瞳を細めた彼の確信犯の微笑みに、自分がはめられたのだと知る。


文句を言おうと開いた唇は甘く塞がれた。




「自分勝手なんだから……」


「たまにはいいだろう?」



たまにじゃなくていつもでしょ、と小さく棘は刺したものの。


やがて隣で小さく寝息を立て始めたウルキオラの寝顔を見て、こんな記念日も悪くないかもしれないと思った。




7月8日。


特別な一日は、大好きな人の腕の中。




Thank you!
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