過去拍手
□今日は俺の誕生日!
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その朝、カカシは仁王立ちして彼女の前に現れた。
「ふっふっふ……」
「カカシ……いつにも増して気持ち悪いけどどうしたの?」
そんな彼女の辛辣な言葉にも、今日は怯まない。なぜなら今日は――
「今日こそは俺の言うことを聞いてもらうよ」
「?」
首を傾げる彼女に忍者登録証をかざして、この一言。
「見よ!今日は俺の誕生日!」
ジャジャーンと胸を張って見せた登録証には『はたけカカシ 九月十五日生』と記されていた。
「おめでとう。
――じゃ、私忙しいからこれで」
「おおいっ!?」
踵を返そうとした彼女の肩をすかさずガッシリと掴んでホールド。
あからさまに迷惑そうな表情を浮かべる彼女にも、今日だけは負けられない。
なぜなら今日は!
「誕生日だよ!?今日は俺の誕生日なんだよ!?」
「だから何」
「年に一度の誕生日くらい、俺の願い事聞いてくれたっていいでしょーよ!」
「じゃあ聞くけど、その願い事とやらは何なの」
「俺と付き合って!」
「さようなら」
「何でぇぇぇぇぇ!!」
彼女の左腕にすがりついたカカシは、ずるずると引き摺られながらも決して離れない。
まるで『だっこちゃん』人形のようにまとわりつくその姿には、泣く子も黙るエリート上忍の面影はかけらもない。
よっぽど今日という日に賭けていたのか。
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