過去拍手
□ハロウィンのお召し物
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◇ウルキオラ◇
「ね、こっちの妖精なんてどうかな?」
「ああ」
「それともちょっと大人っぽく魔女の衣装にしようか?」
「そうだな」
「いっそ思い切って猫娘とか?」
「いいんじゃないか」
恋人・ウルキオラの部屋で嬉々とした表情でハロウィンの仮装衣装をとっかえひっかえしていた彼女は、唐突にむすっと膨れ出した。
「……?どうした」
「ウルキオラって何にも言ってくれないからつまんない。
もっと思ってることはっきり言ってよ」
唇を尖らせる彼女を、ウルキオラは不思議そうに見つめる。
「……言ってほしいのか?」
「当たり前でしょ」
「思っていることを全部?」
「だからそう言ってるじゃない」
業を煮やしてぷいとそっぽを向く彼女。
寂しそうな横顔を目の当たりにしたウルキオラは、首を振って大きく息を吸い込んだ。
「……わかった。全部言う」
「え?」
「まずこの妖精は素材が薄すぎて肌が透ける。一見ゆったりした作りだがこれじゃ体のラインが丸わかりだ。その辺の男どもにおまえのスタイルを教えてやる必要など微塵もない。
次に魔女だが、スカートのスリットが深すぎだ。男はこういう見えそうで見えないものに異常に惹きつけられる。おまえの脚が他の男の目に触れるなんて考えただけで虫唾が走る。
最後に猫娘。これは完全に論外だ。こんな『萌えて下さい』と言わんばかりの耳と尻尾をつけてどうするつもりだ。オタク連中の餌食になるのがわからないのか。ああいう奴らは恐ろしいことに想像だけでも萌えることができる。つまりこんな姿を一目でも見られた日には、その後数ヶ月は奴らの脳内で猫娘のおまえがニャーニャー鳴き続けることになる。そんな凌辱を赦すわけにはいかないだろう」
「…………」
「どうした。思っていることを言ってほしいのだろう?」
「それは……そうなんですけど……
……もしかしていつもそんなこと思ってたの?」
「そうだ。思っていることならまだまだある。
大体おまえは普段から露出が多すぎる。上着の留め具は俺のように一番上で留めればいいだろう。そんなに胸元まで開けて男を誘惑しているのがわからないのか。
スカートの丈だって――」
「わ、わかった!わかりました!もういいから!」
「……なんだ?全部言ってほしいんじゃないのか?」
「うん、もういいや、大丈夫」
「今さら遠慮などするな。おまえが聞きたいというのなら俺は全部――」
「いやー!勘弁してー!!」
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ウルキオラが言葉少ななのは実は必死に感情を押し殺しているから、という設定。
平気な素振りをしていても内心ではこれぐらい思っていたら面白い(笑)
一度言い出してしまった彼はもう誰にも止められません。あっぱれ。
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