Dear…

□Cloudy will be Fine
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「第七席草薙沙羅、ただいま任務から戻りま――……あれ?」



十三番隊の隊舎の扉を開けた沙羅は、その中央で円卓を囲っている面子に目を丸くした。



「隊長?仙太郎に清音も――
え、どうして?今日って席官会議の日でしたっけ?」


そこに集っていたのは隊長の浮竹十四郎以下、十三番隊の上位席官を務めるそうそうたる顔ぶれ。


慌ててスケジュール帳を確認する沙羅に、第三席の虎徹清音は「違う違う」と顔前で手を振って笑った。



「今ね、沙羅に内緒で話し合ってたところなのよ。
次の副隊長を任せるとしたらあんたしかいないってね」




「…………え?」



「バカ野郎ぉぉこのハナクソ女っ!それを言っちまったら内緒にならねえだろうがっ!」


唖然とする沙羅を前に、もう一人の第三席・小椿仙太郎がすかさず清音を蹴り倒す。


「ああっしまった!
……ってうるさいぞ小椿!おまえにバカ呼ばわりされる覚えはない!」


「じゃあアホだこのハナクソ女!」


「アホでもないわっ!」



ハナクソはいいのか、という疑問は呑み込んで沙羅は別の方向に顔を向けた。



「……隊長、どういうことですか?
その件についてはまだお返事させて頂いてないはずですけど」


鋭い視線を向けられた浮竹は、いつもの人懐っこい笑みを浮かべながらぽりぽりと頭をかく。


「いや、おまえの返事を聞く前にみんなの意見も聞いておこうと思ってな。
そのほうがおまえも後々やりやすいだろうし――」


「後々の前に今がやりづらくなるじゃないですか!」


「や、その……スマン!悪かった!」


カッと肩を怒らせれば浮竹は隊長とは思えないほど小さくなって平謝りした。


それを見た清音と仙太郎は、互いの髪の引っ張り合いを中断して沙羅と浮竹の間に割り込む。



「こら沙羅!隊長はあんたの為を思ってやってくれてるんじゃないの!」


「そんなこと言ったって、私まだ副隊長やるって決めたわけじゃないもの」


「何言ってんだ!ウチの副隊長張れるのなんざオメーしかいないだろ!」


「な……私以外にもいるでしょ!そういう仙太郎と清音だって――」


「あんたじゃなきゃ駄目なのっ!」


反論の暇も与えずにそう言い放って清音はふんっと腰に手を当てる。


「あたしや小椿じゃ隊長の副官は務まらないのよ。
席位なんて関係ない。海燕副隊長の後を継げるのは、隊長が誰よりも信頼を寄せる沙羅しかいないの」


ちょっと悔しいけどね、と肩をすくめて言う清音に他の席官たちも同調して頷く。



「どうして……?私はそんな……」


「こらこら。みんなあまり沙羅を追い詰めるなよ」



顔を曇らせる沙羅に、浮竹は苦笑を浮かべて隊員たちをなだめた。





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