Dear…

□Cold Rain
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それは気配を感じ取ったというよりも勘に近かった。



ただ何となく、彼が傍にいる、そんな気がして。


そして彼が離れて行ってしまうような、そんな気がして。



恐る恐るその名を口にした。




「ウルキオラ…………?」




先ほどまでと同じ。


返答はない。



だけど、確かに――




「……ウルキオラ!」



もう一度、今度は辺り構わず声を上げる。


自分がまるで捨てられた子犬のような声を出していることなど気にも留めず、沙羅はおぼつかない足取りで公園を彷徨った。




「ウル……っ」


「……ここにいる」



嗚咽混じりの声を遮って響いた声音に即座に後ろを振り返った。




破面の象徴たる白装束に仮面。


深く澄んだ翡翠の瞳。



そこには間違いなく彼がいた。


この二週間、ずっと胸に想い描いて止まなかった人が。




「あ…………

久し、ぶり……」


「……ああ」




あんなに会いたかったはずなのに、いざ目の前にすると何から話せばいいのか。


気持ちばかりが溢れてしまって言葉にならない。




どうしよう、とその表情を窺ったところで沙羅は気づいた。


ウルキオラがひどく辛そうに顔を歪めていることに。



そこで初めて自分が今どんな顔をしているのかを思い出した。



涙の跡を拭って――笑う。



「もう、水くさいな。そんなところに隠れてないで早く出てきてくれればよかったのに。
……格好悪いとこ見せちゃったじゃない」



彼がいつからこの場にいたのかはわからないけれど、身を潜めていたのはきっと気を遣ってのことだろうと沙羅は思った。


桜の下、悲鳴にも似た泣き声をあげていた自分に。






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