Dear…

□Bloom on Twilight
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爆風に巻き上げられた砂埃の中、一瞬だけ過ぎった黒い影にグリムジョーは意外そうに片眉を上げた。



「……この距離で避けんのか」



パラパラと降り注ぐ粉塵を気にも留めず、影が跳んだ先へと視線を向ける。


そこには仕留めたと思った死神の女が傷一つ負わずに整然と立っていた。




「この前の奴らとは違うみてぇだな」


「……どうして彼らを殺したの」



依然として余裕の表情を崩さないグリムジョーを沙羅は鋭い眼差しで射抜く。



「あァ?んなの決まってんだろうが。藍染サマの命令だ。
てめえらが目障りなんだとよ」


予想通りの返答にぐっと唇を噛む。



そう――きっとウルキオラも己の意思で殺したわけじゃない。


それが主の命令だったから……仕方なく。



そのときの彼の心境を思うとどうしようもなく胸が痛んだ。



その葛藤も、苦しみも、今なら全てわかってあげられるのに。




「敵を前に考えごとかよ?
随分と余裕だ――――なっ!」


最後の声と同時にグリムジョーは刀を抜き、一瞬で沙羅を間合いに捉えていた。




キィンッ!




激しい金属音が響く。



グリムジョーが振り下ろした刀を沙羅の斬魄刀はしっかりと受け止めていた。




これだけの強大な霊圧を持つ男を前にしてまさか油断などするはずがない。


ましてや相手は十刃。


向かい合って対峙した時点で沙羅はとうに全神経を研ぎ澄ましていた。




ガキン!



その細い体のどこにこんな力があるのかと思わせる勢いで刀を弾き返した沙羅に、後方に跳んだグリムジョーは小さく目を剥く。



その隙に沙羅は両手に握った斬魄刀の切っ先を天に向け、高らかな声でその名を呼んだ。





「――咲き誇れ、夢幻桜花!」






次の瞬間、赤く染まる夕焼けを背景に沙羅の斬魄刀は薄桃色に色づきまばゆい光を放っていた。







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