Dear…
□Be with You
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「ずっと傍にいると誓ったのに……おまえは俺を残して死んだ」
胸の奥に突き刺さる哀しい声音に、沙羅はぎゅっと唇を噛み締めた。
「おまえがいなくなった世界などどうでもよかった。
杉原を殺し、処刑されることが決まっても、俺の中に恐怖はなかった。
……死ねばまたおまえに会えるかもしれないと思っていた」
彼は一体どんな想いで最期の瞬間を迎えたのか。
最愛の人に看取られて死んでいった自分とは違う。
何もかもを棄て去った……あまりにも孤独な死。
「だが――死んだ後も俺の魂はいつまで経っても昇華しない。
おまえを奪った世界への憎悪だけが膨らんで、喰いたくもない魂魄を滅茶苦茶に喰い散らかして。
俺の罪は死んで洗い流されるどころか、ますます重みを増すばかりだった――」
「ウルキオラ……」
堪え切れずに伸ばした手が振り払われる。
「何故……。何故なんだ……」
片手で頭を押さえてうわ言のように呻くウルキオラの声に、沙羅はただ耳を傾けることしかできない。
「おまえを失って……百年も時が過ぎて、ようやく再び巡り逢えたのに……」
緩慢な動作で顔を上げたウルキオラの目が、真っ直ぐに沙羅を射た。
月明かりの下、翡翠の瞳に映るのは、黒い死覇装。
だが彼女の瞳に映るのは、それとはまるで対称的な白い装束。
敵対の証。
「何故……おまえは死神なんだ」
哀しみに満ちた声に、沙羅の背筋がぞくりと震えた。
言いようのない悪寒が胸を駆け巡る。
そしてその予感はすぐに現実となった。
「何故俺は……破面なんだ――!」
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