Dear…

□Higher & Higher
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「おっはよ、沙羅!
……あら?あんた目の下に隈できてるわよ。まさか一睡もしてないの?」



場所は瀞霊廷の一角。


出会い頭早々に乱菊に図星を指され、誤魔化しようもなく沙羅は頷いた。



「若い娘が堂々と朝帰りですかぁ?お熱いことで〜」


大袈裟に肩をすくめて茶化してくる乱菊は、すっかり沙羅が現世で誰かと密会していると思い込んでいるらしい。


まさかその相手が破面だとは想像もしていないだろうが。



そんな彼女の言葉に肯定も否定もできずに苦笑を浮かべながら、沙羅はつい数時間前に別れたばかりの恋人に想いを馳せた。





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ようやく互いに気持ちを通わせたものの、時間は驚くほど足早に過ぎ二人の佇む公園は瞬く間に朝日に包まれていた。


桜の花の隙間から射し込む光に目を細め、ウルキオラは名残惜しそうに沙羅から身体を離した。



「……そろそろ帰ろう。
おまえもここに来ていることが知られたらまずいんだろう?」


「うん……。次はいつ会えるかな?」



不安げな面持ちで見上げてくる沙羅に、ウルキオラは他の誰にも見せないような優しい眼差しを向ける。



「そんな顔をするな。
おまえの霊圧を感じたらすぐに飛んでくる」



別れがつらいのは彼とて同じ。


けれど少しでも安心させてやりたかった。



死神と破面……互いに異なる世界に生き、異なる組織に籍を置く者。


現世の任務にでも就かない限り、次の約束を明確に交わすことは難しい。



むしろ今まで何の約束もしていないのに、幾度となくここで会えたことの方が不思議だ。



そのとき既に運命は二人を結び合わせる為に動いていたのかもしれない。




「またすぐに会える。会いに来る」



力強く言い切ったウルキオラに沙羅は安堵したように顔を綻ばせ、頷いた。



これが運命だと言うのなら、きっとまた巡り合わせてくれるはずだ。


そしてこれが運命ではなかったとしても、会えるまで何度でも来ればいい。


この期に及んでもまだ二人を引き離そうとする運命なら、なんとしても捻じ曲げてみせる。



長く苦しい時間を経て想いを重ね合わせた二人の心にはそんな強さがあった。




最後にもう一度固い抱擁を交わし、二人はそれぞれの世界へと続く門を同時にくぐっていった。







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