過去拍手
□作戦成功
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彼女の真意は掴みかねるが、とりあえず断っておくに越したことはない、とウルキオラは首を横に振った。
「悪いが、俺の部屋にはベッドはひとつしかない」
「あ、別にいいよ?隣に寝かせてくれれば」
「………………」
こいつは自分が何を言っているかわかっているのだろうか。
「そんなことできるわけないだろ」
「何で?」
「何でって――おまえな」
きょとんと見上げてくる彼女から視線を逸らして、溜め息。
彼は男、彼女は女。もう子供でもない。
その二人がひとつのベッドで一夜を過ごして、何も起こらないとでも思っているのだろうか。
はっきり言ってウルキオラにはそんな自信はさらさらない。
ましてや相手が彼女では。
「……とにかく駄目だ」
「どうしても?」
「どうしてもだ」
「うー……ウルキオラのけち」
「何と言われようが泊める気はない」
そうきっぱりと言い放てば、さすがの彼女もむっとしたようだった。
「……もういーよ!ウルキオラに頼んだ私がバカだった!
他の人に頼むからいいです!」
「ああ……そうしてくれ」
ぷい、とむくれてそっぽを向いてしまった彼女に罪悪感は感じたものの、ウルキオラは内心ほっと胸を撫で下ろした。
とりあえず、最悪な状況だけは回避することができた。
彼女の機嫌は損ねてしまったようだが、それはまた後で取り繕えばいいだろう。
……が。
そっぽを向いた彼女がぶつぶつと呟いた言葉を、ウルキオラは聞き逃さなかった。
「どうしよう……グリムジョーがいいかな。あ、それともザエルアポロにしようか。でもノイトラも泊めてくれそうだし……」
…………ちょっと待て。
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