過去拍手

□酔った口は良く回る
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「ね〜。今日もさぁ、みんなに言われちゃったヨ」


「何て?」



私の隣に割り込んで暑苦しいぐらいにぴっとりと密着してくるカカシを露骨に避けながら問えば、カカシはしゅんと寂しそうに項垂れて口を開く。



「俺にはおまえみたいないい女は勿体ないってさぁ。ひどいよネ〜?」


「ふぅん、そんなこと言われちゃったんだー。みんなひどいねー」



酒臭いカカシから少しでも離れたい一心で投げ槍にそう答えると、その反応が気に入らなかったらしくカカシがますます顔を寄せてきた。


「チョットチョット!何よそのうざそうな言い方は!俺泣いちゃうヨ?」



うざい。ああうざいとも。


いっそ泣かしてやろうかこの酔っ払い。



パキポキと指を鳴らして準備運動をしていると、その空気を読んだのかカカシは今度はへにゃ〜っと崩れて私の膝に頭を乗せた。



「ん〜。やっぱここが一番落ち着く〜」


「こたつで寝たら風邪引くよ。寝るならベッド行こう?」


「ねーねーここ、俺だけの指定席ね?他の誰にも貸したら駄目だーよ?」



ああ、最早会話すら成り立たない。


甘えんぼさんやってる場合じゃないわよ。明日も任務でしょーが!



その後も一人でふにゃふにゃ呟いてるカカシを寝室まで引きずり、忍服を剥ぎ取ってよっこいせとベッドの上に放り投げた。



「な〜にィ、今日は随分激しいんだねぇ?
俺はそういうのも好きだけどさァ……」


何と間違えているのか、布団に気持ち悪いぐらい足を絡ませてニヤついているカカシ。


あれじゃ布団が可哀想だ。水ぶっかけてやった方がいいかしら。いやそれも布団が可哀想だ。



やれやれと頭を押さえて寝室を出ようとすると、またもや布団に向かって話しかけているカカシの声が聞こえた。




「好きだぁ〜……俺にはおまえだけだヨ……」






「………………ぷふっ」



堪えきれず、噴き出した。



「そんなに布団がお好きなんですか、はたけさん?」



その問いかけに返答はなく、ベッドの上ではすでにすーすーと規則正しい寝息が響いている。



全く、普段は機嫌を取るときぐらいしかそんなこと言わないくせに、ずるい男。



そう思いながらも顔が綻んでしまうのは止められず、私はそっと寝室のドアを閉めた。




さて、明日はきっと二日酔いだろうから、朝食は味噌汁だけにしておにぎりでも持たせてやるかな。


そうそう枕元に水も置いといてあげないとね。



くすくすと笑いながらキッチンへと向かう私の足取りは軽かった。










(軽々しく聞こえるかもしれないけど、全部本音なんです)








翌朝。


「いや〜、昨日の夜は濃厚だったネ!俺ってまだまだイケるかも」


(……まだ酔ってるのかな)






++++++++


酒が回ったときこそ口も良く回るもの。

多分カカシは布団とイチャつきながらいい夢でも見てたんだと思います(笑)
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