Dear…U

□Growling Wolf, Creeping Dog
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沙羅とウルキオラの再会から時は少し遡り――


第4の宮へと繋がる回廊では十刃同士の激しい闘いが繰り広げられていた。



「ハッ!だいぶ息が上がってきたんじゃねぇか!?」

「てめえもなッ!」


振り下ろされた大鎌を剣で弾き、すかさず斬り返すグリムジョー。

しかしそれをノイトラの鎌の柄によって防がれ両者は再び距離を取った。


共に十刃に名を連ね、それもNo.5・No.6と拮抗した実力を持つ二人。

息もつかせぬ攻防は辺りの地形さえ変えるほどで、互いに無傷とは言えない状態だった。



「――ッ!」


体勢を変えながら放った蹴りがノイトラに片腕で受け止められる。

細身な外見とは裏腹にノイトラの鋼皮の硬度は十刃中最高であり、半端な攻撃は易々と止められてしまう。

一瞬怯んだグリムジョーの隙を逃さず、ノイトラはお返しと言わんばかりに鳩尾へ強く蹴り込んだ。


ドォォンという地鳴りのような音と共に回廊を支えていた支柱へ激突し、天井が崩落する。


「グリムジョー!」


傍らで戦況を見つめていたディ・ロイが堪らず飛び出しかけたが、それは隣に立つイールフォルトによって制された。


「手を出すなと言われただろう」

「けどよォ!」

「俺たちは邪魔が入らないよう見張っていればいい。
それともおまえはグリムジョーがノイトラに負けると思っているのか?」

「そうじゃねえけど……!」


歯痒そうに唇を噛むディ・ロイの後方からシャウロンが歩み寄る。


「いずれにしろ我らの介入する余地はない。かえってグリムジョーの足を引っ張るだけだ」


薄く細められたその視線の先には、立ち込める白煙の中瓦礫を押しのけて立ち上がるグリムジョーの姿が。

口内に溜まった血を吐き出してノイトラを睨みつけるその形相はまるで獣のようだった。




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