Dear…U
□Death Struggle for Existence
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「桜花乱舞!」
沙羅が構えた夢幻桜花の刀身から無数の花弁が舞い上がる。
それを刀の一振りで薙ぎ払った藍染はそのまま沙羅の肩口を斬りつけた。
すかさず縛道の盾で防ぐ沙羅。それでも全ての衝撃は受け切れず、体勢が崩れかけたところで今度はウルキオラが背後から藍染の首を狙う。
迫り来る槍を前に藍染は避ける素振りもなく静かに口元を歪めた。
「破道の九十、黒棺」
「――っ!下がって!」
はっと息を呑んだ沙羅がウルキオラに叫ぶ。次の瞬間、地面から黒い箱状の巨大な霊圧の渦がせり上がった。
それぞれ後方へ跳び間一髪で逃れる二人。
だが黒棺の爆発の余波は灼熱の光弾となって襲いかかってきた。
防護壁で身を護りながら沙羅は唇を震わせる。
「九十番台を詠唱破棄で……」
鬼道の中で最も習得難度が高く扱いが困難とされる九十番台の術式を、詠唱破棄でいとも容易く発動させるとは。
避けるのがあと一瞬でも遅ければ、あの黒い檻の中で迸る霊圧の重力により圧砕されていただろう。
彼は鬼道の使い手としても自分を遥かに超越している。その力の差をまざまざと見せつけられたようだった。
こんな相手に本当に太刀打ちできるのか。
気を緩めれば恐怖に飲み込まれそうになる。
完全催眠にかかっているわけでもないのに、彼にひれ伏してしまいたくなる。
不安に駆られ瞳を惑わせていた沙羅の視界を上から黒い影が覆った。
目線を上げると、翼を広げたウルキオラが熱風から沙羅を護るように立っていた。
「おまえは一旦下がって傷を治しておけ」
前を向いたまま低い声でウルキオラが呟く。
巨大な漆黒の翼は先程の爆発を受けて所々擦り切れてはいたものの、その立ち姿には一切の迷いも見受けられなかった。
「今度こそ……護ってみせる」
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