拍手集
□拍手集
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――落花――
「鳳珠様の口付けは、落ちてくるみたい」
どういうことか分からないという顔で聞いてくる彼に、抱き締められた腕の中で私は、ふふ、と笑った。
「落ちてくるんです。上から」
「身長差の話か?」
「違う違う。まるで、雨みたいな、雪みたいな……」
「ますます分からん」
困ったように笑い、私の頬をするりと撫でる大きな手が愛しい。
その温かな掌の温度で、頬から溶けていくみたい。
「つまり、私は鳳珠様が好きってことよ」
花びらのように落ちる
口付け、降り積もって
あなたに埋もれ、溺れてしまうのも悪くないわ。
了
(08'05.11〜08'06.26掲載)