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□天使の不在。
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降りしきる雨。
やむ気配が無い滴は先程から降り始め、容赦なく躯を冷やす。

私は愛剣の柄を握り締めたままで、彼は愛槍の切っ先を私に向けて静止している。

「何故・・・お前が・・・」
沈黙を破り口を開けば予想していた言葉が出てきた。


「・・・何故、魏にっ」
最悪の再会だった。
お前は魏将で俺は蜀将として。つまり敵同士。

「馬超、私は・・・」
お前は曹操に拾われた。
韓遂の娘だから。

俺は一族を滅ぼされ愛するお前まで失った。

嗚呼、神よ。
俺には天使は降りて来ないのだろうか。
どれだけ耐えればいい。
幸せになりたいと望んではいけないのだろうか。

「私・・・今でも貴男が好き」
お前は剣を捨て俺に抱きついてきた。
そして呟く。
「一緒に生きられないなら」
「いっそ貴男に殺されたい」

「馬鹿言うな・・・。天使は居ないが、俺が幸せにしてやる」
槍を捨て両手で震える躯を抱きしめた。


神は俺に微笑まなくてもお前が居れば何も要らない。


天使の不在。





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最愛」様に提出。
遅くなって申し訳ないです。
お相手は私の最愛キャラ馬超。
一応シリアス甘。
主催の永城様を始め、此処まで読んでくださった貴方様に感謝です。

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